ゆったりと流れる時間

たまに「ああ!、物が多すぎる!」と思うときがある。

と言っても、持っている物自体は少ない方だと思うのだ。それでもそう感じるのは、丁寧に自分の周りにあるものと向き合う時間があまりにもない。そんな理由からなのだろうと思う。

一体急いで私はどうしようと思っているのだろうか?

先日、誘われてあるイベントへと足を運んだ。簡単にこんな感じのイベント、と話は聞いていたものの実はよく分かっていなかった私。それでも二つ返事でOKしたのは、何か面白そうな感じがしたから。「陶器の」という単語は聞いた気がしたものの、会場について「益子焼」の文字を見た時に、初めて益子焼に関連する展示らしい、と理解した。

益子焼で有名な益子は、私が生まれ育った宇都宮市から車で1時間ほどのところにある。なので何度か足を運んだことがあるものの、10年ほど前に母と陶器を買いに行って以来、すっかりご無沙汰している場所だった。

店内には益子で活動を行っているSTARNETで作られている陶器や、服、ハチミツや野草茶などがすっきりと配置され、「いつのまに益子がこんなことに!?」と驚きつつ、あれやこれやと見て周る。

ふと、店内でかかっていた音楽が気になり、1枚のCDを手にする。犬の顔を真正面からアップで捉えたジャケットのCDをじっと見つめいていると、「それ、僕が作ったんですよ」と銀髪の男性が話し掛けてきた。

その男性こそが、STARNETを主催する馬場さんだった。

聞けば、10年程前に益子に移り住み活動を始めたとのことで、どうりで全く知らない筈。知らないとなると好奇心も溢れてきて、失礼かとは思いながらも色々と話し掛けてしまった。けれども嫌な顔することも無く、一つ一つ丁寧に答えてくださり、その話の中で「みんなね、スローライフに憧れるんだけど、実はスローライフは忙しいんです」と笑いながら話されたことが印象に残った。

そうなのだ。手間を惜しんでスピードにのって、余裕ができる筈なのに、でも結局のところそのできた余裕でまた別のことをこなす。そこには点と点とのつながりしかない気がするのだ。あまりにも薄い。

せめてその点を、短い線でいいから引き伸ばせたら、時間はゆったりと流れるのだろう。

多分、濃密さが余裕になるのだ。

そう思ったとき、時計で自分の時間を計るのは止めよう、と思った。

話の区切りがついたところで、馬場さんは軽やかに外へと出て行った。私はもう一度店内を巡り、CDとさくらのハチミツを購入した。ハチミツの甘さを舌に感じるたび、甘くゆったりと流れる時間を思い出せるように。
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by sweetflowers | 2008-04-26 09:28 | 日々のあれこれ
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