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淀みなく美しさを紡ぐ手

「不要なものを取り除いて、どうやったら活かせるかを考えるの」

不意にテレビから飛び込んできた言葉に思わず反応して画面を見ると、花を活けているところだった。

器に挿された1本の枝。小さな枝が切られていった後、重心を下げた位置に大きな、淡いピンク色をした芍薬の花と数本の百合の花。そして最後に葦を1本。左上へとすっと伸びる緑の線が出来上がる。

なんてきれいなんだろうと思った。

そして淀みなく動く手に、一体どうなっているのだろうと思った。

まるで最初から分かっている場所に活けるように、迷いが無いのだ。

美しい空間が生まれるとき、そこには不要なものが無い。分かってはいるけれど、一体何が不要なのかも時々分からなくなる。

さて、先日のお茶会では「美しさ」をテーマにした。私なりにそのテーマを捉えた時に、そこには絶対に必要なプロセスとして「自分の内側に問いかける」プロセスと、「そこから得た情報を纏め上げ、現実の世界に表現していく」プロセスがあると考えて、そのことをサポートしてくれるフラワーエッセンスをいくつかご紹介した。

その中のひとつに「スターチューリップ」のエッセンスがある。紫色をした小さな花は、その内側にびっしりと繊毛が存在する。「猫の耳」と表現されるその姿は、繊細なものを受け取る力をサポートしてくれる。本来の自己が発する声に耳を傾け、そこから受け取ったものを大切に育てこの世界に表現していけたらどれだけワクワクすることだろう。そう思って、このエッセンスを選んだ。

それは、「活かしていくものは何なのか」を探ることでもあるのだろう。「活かすもの」があって、初めて「不要なもの」が存在できるのだ。

あの淀みなく動く手のように、迷い無く、不要なものが決められれば、もう少し美しい空間が私の周りに溢れるのだろうとは思うけれど・・・・。歩みは遅いのだ、残念ながら。
by sweetflowers | 2008-05-17 23:24 | フラワーエッセンス
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